裏方のプライド。 ープロジェクト紹介ー

第一龍王丸 建造プロジェクト
船舶事業

令和元年9月、大旺新洋では5隻目となる最新鋭のグラブ式浚渫船 第一龍王丸が竣工しました。グラブ式浚渫船は海底の土砂を巨大なクレーンを使って掘り下げて、海上航路を拓きます。工事期間中は、船内で寝泊まりして作業することから、作業員が快適に過ごせるように様々な工夫を凝らして建造しました。
お話しするのは、建造プロジェクトの船長 笹岡 純一と、船員の浅野 徹志です。

船長

笹岡 純一

船員

浅野 徹志

好きなことを仕事に

第一龍王丸の建造プロジェクトのリーダーを務めるのが、船に乗り始めて30年、大ベテランの船長の笹岡です。船員の道を選んだのは、小さなころから海が好きだったから。

船長

笹岡

もともと海が好き。子供の頃から釣りとかしていました。だから船酔いは一回もしたことがない。酔ってしまうのは酒と女ぐらいですかねー。。。

船長 笹岡を支えるのは、大旺新洋に中途で入社した浅野です。入社前は船員の経験はなく、船に乗り始めてまだ2年です。

ガキのころから機械が好きだったから、大旺新洋に入る前は重機のオペレーター(操縦士)をやってました。もっと大きな機械を操りたくて船員になりました。

船員

浅野

浅野は大型のクレーンを操りたくて、その免許をとってから大旺新洋に入社したというから、その思いは本物。しかし、入社当初は浚渫船とは全く別の船に配属されたとか。

船長

笹岡

クレーンの免許を取ってから入社したやつがいると聞いてた。一回、グラブ式浚渫船に乗せてあげたいなぁと思ってたんです。だから今回、新しい浚渫船を作るというので呼びよせました。

船長 笹岡の計らいもあって、浅野は念願叶ってグラブ式浚渫船の第一龍王丸に配属になりました。好きなことを仕事にする努力は、きっと誰かが見てくれているものです。

乗り手が作った船

大旺新洋では70年近くも浚渫工事に携わっており、すでに4隻のグラブ式浚渫船が全国の港で活躍しています。

グラブ式浚渫船では、船員は夏でも冬でも、強い日差しや冷たい雨にさらされながら作業します。また、工事期間中は船内に寝泊まりして作業します。少しでも船員が快適に過ごせるように、乗り手である自分たちが積極的に建造にタッチしていこうというのが今回のプロジェクトの特徴です。

今までは造船会社が作った船をそのまま使っていたんです。今回は、乗り手である自分たちが使いやすい船を作るというのが新しい試みでした。
だから、まず最初に他の船をまわってみんなの意見を聞いてまわって、レイアウトから船室のこまごまとしたところまで要望していきました。造船所さんからは、うるさい船長やなぁと思われていたと思いますけどね。

船長

笹岡

船長 笹岡をはじめ、プロジェクトメンバーの1年にもわたる努力の結果、乗り手にも、環境にもやさしいグラブ式浚渫船が完成しました。

グラブ式浚渫船 第一龍王丸

「IMO(国際海事機関)Nox2次規制」に対応した、環境にやさしいエンジンを使用

自船・他船を問わず、油・燃料の流出を最小限に抑えるオイルフェンス

猛暑・酷寒などの天候から作業員を守る休憩所を配置

プライベート空間である船員室は、安眠を妨げないようにレイアウトや調度品にも工夫

風呂やシャワーは、タイミングが重なり混みあうものです。できるだけ待ち時間を少なくするように増設

休憩スペースには、浅野の趣味のトレーニング器具を発見!

船員は家族

グラブ式浚渫船では、約10人のメンバーが連携して作業にあたります。作業時間以外でも、食事や風呂など日常の生活時間も共有しています。それだけに仲間意識が強くなるようです。

風呂も一緒、食事も一緒。それだけに仲間意識は大切に考えています。まぁ、おもしろいですよ。

船員

浅野

船長

笹岡

いいところも見えてくるし、悪いところも見えてくる。そういうのも含めて一緒にやっていく。船に乗っている仲間は家族ですよ。

船員が"家族"なら、浚渫船は"家"といったところでしょうか。"家族"が住む"家"だけに妥協なく安全、快適を追求した第一龍王丸建造プロジェクト。
この先、何十年もいろいろな"家族"に大切に受け継がれていくことになるでしょう。